課題
大手 SIer である同社では、事業部・ソリューションごとにサービスサイトや特設サイトが立ち上がり、数十のサイトがそれぞれ別の担当者・別の計測設定で運用されている状態でした。GA4 のプロパティ設計、コンバージョンイベントの定義、タグの命名規則がサイトごとに異なり、「全社で資料請求が何件あるのか」という基本的な問いにすら、即答できる人がいませんでした。
また、各事業部のマーケティング担当者は月次でアクセスレポートを作成していたものの、数値の貼り付け作業に多くの工数が割かれ、示唆の抽出まで手が回らないことが慢性化。経営層からは「Web のデータを事業判断に使いたい」という要望がある一方、現場には横断的にデータを設計・運用できる人材が不足しており、外部の解析パートナーとして LOads にご相談をいただきました。
アプローチ
1. 計測設計の棚卸しと共通ルール策定
支援初期に、主要サイトの GA4 プロパティ・タグ・イベント設定を棚卸しし、現状の設定差分を一覧化しました。その上で、イベント命名規則・コンバージョン定義・パラメータ設計を全社共通ルールとしてドキュメント化。「資料請求」「問い合わせ」「ホワイトペーパー DL」といった主要 CV を全サイトで同じ定義・同じ名前で計測できる状態を設計しています。新規サイト立ち上げ時にそのまま使える「計測設計テンプレート」も併せて整備しました。
2. 段階的な展開と事業部横断ダッシュボード
数十サイトを一斉に改修するのは現実的でないため、事業への影響が大きい主要サイトから段階的に共通ルールへ移行しました。並行して Looker Studio で事業部横断ダッシュボードを構築し、サイト別・事業部別・流入チャネル別の CV 数とコストを 1 画面で比較できる状態に。これにより「どのサイトに投資すべきか」「どの事業部の Web 施策が機能しているか」という予算配分の議論が、初めてデータを土台に行えるようになりました。
3. レポート自動化と「使われる解析」への転換
月次レポートはダッシュボードからの自動生成に切り替え、手作業の集計・貼り付け工数を約 4 分の 1 まで削減。空いた工数で、LOads が各事業部との月次定例に同席し、「数値の報告」ではなく「来月何をするか」を決める場へと会議体の設計も見直しました。営業部門向けには、商談で使える業界別の流入トレンド資料への加工方法も提供し、解析データの利用者をマーケ部門の外へ広げています。
成果
支援開始後、主要サイトを含む数十サイトの計測標準化が完了。共通定義に基づいて改善施策を回した結果、主要 3 サイトの資料請求 CV は支援前比で +58% となりました。数値以上に同社で評価されているのは、「全社で Web の成果を同じものさしで語れるようになった」ことです。事業部間でバラバラだった報告フォーマットが揃い、経営層への報告も横断ダッシュボードを直接参照する形に変わりました。
属人化していた解析業務が共通ルールとテンプレートとして残ったことで、担当者の異動・退職に左右されない計測運用体制が定着した点も、大規模組織ならではの成果と言えます。
LOads が担当した支援領域
- GA4 / タグ計測設計の棚卸しと全社共通ルール策定
- 数十サイトへの計測標準化の段階展開ディレクション
- Looker Studio による事業部横断ダッシュボード構築
- 月次レポート自動化と定例会議体の再設計
- 新規サイト向け計測設計テンプレートの整備 / 社内ナレッジ化