課題
数千社規模の導入実績を持つ大手 BtoB SaaS を運営する同社では、長年データ解析を一手に担ってきた担当者の異動を機に、解析体制の空白が生まれていました。GA4・BI ダッシュボード・広告計測タグの設計意図を把握している人が社内におらず、「数字は出てくるが、その定義を誰も説明できない」状態に陥っていました。
さらに、UA から GA4 への移行期に応急処置的に追加されたイベントが整理されないまま残っており、同じ「デモ申込」でも計測経路によって数値が食い違うという計測負債が蓄積。マーケティングチームは月 20 時間近くをレポート作成と数値の突き合わせに費やし、肝心の デモ申込 CVR は 1 年以上横ばいのままでした。
アプローチ
1. 計測環境の棚卸しとドキュメント化
支援初期に、GA4 のイベント設計・GTM のタグ構成・BI 側の集計ロジックをすべて棚卸し。重複イベントと定義の食い違いを洗い出し、「どの数字を正とするか」を明文化した計測仕様書として再構築しました。前任者への依存を断ち切るだけでなく、マーケと営業が同じ数字で会話できる土台を整えています。
2. デモ申込ファネルの段階別可視化
計測を正常化したうえで、「広告 / 検索流入 → 機能ページ閲覧 → 料金ページ → フォーム到達 → 送信完了」のファネルを段階別に可視化。データから見えたのは、フォーム到達率は業界水準を上回る一方、フォーム到達後の離脱率が突出して高いという事実でした。改善余地は集客側ではなく、フォームと直前の LP 構成にあると特定しています。
3. フォーム / LP の改善と AB テスト
フォームは入力項目を見直して必須項目を削減し、入力補助とエラー表示を改修。あわせて、フォーム直前の LP では導入企業数・セキュリティ情報・サポート体制など、稟議を意識した不安解消ブロックをフォーム手前に再配置しました。これらを AB テストで順次検証し、効果が確認できた変更のみを本実装しています。
成果
改善実装後の平均で、デモ申込 CVR は支援前比で約 1.5 倍に改善。広告費を増やすことなくデモ申込数が増加しました。また、フォーム項目の見直しにより営業に渡るリード情報の質が整理され、トライアルからの商談化率も約 38% 向上しています。
副次的な成果として、レポート作成にかかっていた月 20 時間の工数はダッシュボードの自動化により約 3 時間まで圧縮。マーケティングチームが「数値の突き合わせ」ではなく「次の打ち手の議論」に時間を使える体制へと変わりました。担当者の異動というリスクを、計測基盤と改善サイクルを立て直す機会に転換できた事例です。
LOads が担当した支援領域
- GA4 / GTM / BI の計測環境棚卸しと計測仕様書の整備
- デモ申込ファネルの段階別可視化 (Looker Studio)
- フォーム改善 (EFO) と LP 構成見直しの AB テスト設計
- 営業データと連携した商談化率のモニタリング設計
- 月次レポートの自動化と週次改善会議のリード