課題
婦人向け医療サービスを展開する同社では、Web サイト・アプリ・CRM のそれぞれにデータが蓄積されているものの、計測設計がバラバラで「ユーザーがどこで離脱しているのか」を横断的に見られない状態が続いていました。広告経由の流入は伸びている一方で会員登録数が比例して伸びず、「集客の問題なのか、サイトの問題なのか」を判断する材料がないまま施策が打たれていました。
加えて婦人向けの医療領域特有の事情として、健康状態や受診履歴に関わるセンシティブなデータを扱うため、計測に対する社内のコンプライアンス要件が厳しい点がありました。「何を計測してよいのか / 計測してはいけないのか」のルールが曖昧なまま運用されていたことが、解析体制づくりの足かせにもなっていました。利用者の安心感を損なわず、かつ事業改善に必要なデータを取得する — この両立が支援の出発点でした。
アプローチ
1. プライバシー前提の計測設計の再構築
最初に着手したのは、計測そのものの設計見直しです。法務・コンプライアンス部門とすり合わせながら、「取得するデータ / 取得しないデータ」の境界をドキュメントとして明文化しました。健康状態や受診目的を推測させうるパラメータは計測対象から外し、行動ベースの匿名データのみでファネル分析が成立するイベント設計に再構築しています。婦人向けの医療領域だからこそ、「安心して使える計測基盤」を先に固めることを重視しました。
2. GA4 / アプリ / CRM のデータ統合
計測設計を固めた上で、GA4・アプリの行動ログ・CRM の会員データを Looker Studio 上で統合し、「広告流入 → LP 閲覧 → 登録フォーム → 会員化 → 継続利用」のファネル全体を 1 つのダッシュボードで追える状態を作りました。これまで部署ごとに別々の数字を見ていた状態から、全員が同じファネルを見て議論できる状態への転換です。
3. 登録フォームの離脱要因特定と改善
統合ダッシュボードで明らかになったのは、登録フォームの特定ステップに離脱が集中しているという事実でした。入力項目の多さと、センシティブな質問が登録初期に配置されていることが心理的ハードルになっていると仮説を立て、必須項目の削減・質問順序の見直し・任意項目の登録後回しを AB テストで検証。離脱率の高かったステップを段階的に解消しました。
成果
改善実装後、会員登録 CVR は支援前比で約 1.5 倍に向上。登録フォームの離脱率は約 34% 低下し、広告費を増やさずに会員獲得数を伸ばせる構造に転換できました。
また、各部署が手作業で行っていた月次集計を Looker Studio で自動化したことで、月 20 時間かかっていたレポーティング工数はほぼゼロ化。空いた時間が施策の検討・実行に振り向けられるようになり、データを「集める」フェーズから「使う」フェーズへの移行が定着しています。
センシティブな領域だからこそ計測を諦めるのではなく、プライバシー配慮と改善スピードを両立させる解析体制を構築できた事例です。
LOads が担当した支援領域
- プライバシーに配慮した計測設計の再構築 / 計測ポリシーのドキュメント化
- GA4 / アプリ / CRM のデータ統合 (Looker Studio)
- 登録ファネルの可視化と離脱要因分析
- 登録フォーム改善の AB テスト設計・検証
- 月次レポーティングの自動化と週次改善ミーティングのリード