BtoB SaaS 事業者

BtoB SaaS - LP の全面改善で商談化率を 1.8 倍に

ランディングページの全面改善と商談化導線のリデザインで、リード→商談の歩留まりを 1.8 倍に改善した BtoB SaaS の事例。

Results

主要な成果

+82%
商談化率
-35%
LP 直帰
-28%
商談化単価

クライアント概要

BtoB 領域に特化した SaaS プロダクトを提供する事業者です。月間で 200〜300 件の資料請求リードは安定的に取れていたものの、そこから商談に進むのは 10% 程度。営業担当者からは「リードの質が低い」、マーケ担当者からは「数は出している」と評価軸が噛み合わない状態が続いていました。

背景となる事業課題

リード単価 (CPL) は媒体運用の努力で 1 年前から 30% ほど改善していました。一方で**「成長率に対して商談数が頭打ちになっている」**ことが経営課題として浮上。経営からも「マーケ投資の ROI が見えにくい」との指摘があり、リードの から への転換が急務でした。

具体的には以下の 3 つが複雑に絡んでいました。

  • リードと商談の評価指標が部門間で分断していた — マーケは「資料 DL 数」、営業は「有効商談数」で見ており、共通の KPI ツリーが存在しなかった
  • LP からの離脱率が高水準 — ファーストビューで価値が伝わらず、3 秒以内の直帰が 4 割を超えていた
  • 資料 DL = 商談意欲ありの前提が崩れていた — DL 経由のリードのうち約 7 割が情報収集段階で、商談打診時には「まだ検討段階です」と返答される

課題の構造化

着手 1 週目で、現状のファネルを以下のように可視化しました。

  • 広告クリック → LP 到達: 100
  • LP 到達 → スクロール 50% 以上: 58
  • LP 通読 → フォーム開始: 24
  • フォーム開始 → 完了: 14
  • 完了 → 商談打診応諾: 2.1
  • 打診 → 商談実施: 1.5

LP の上部離脱と「打診応諾率」の 2 箇所でファネルが大きく崩れていることが特定できました。この時点で「媒体配信の最適化」ではなく、**「LP の体験設計」と「商談化導線」**が改善の本丸だと方針を確定しました。

取り組み

1. KPI ツリーの再設計と部門合意

マーケと営業の共通言語を作るため、KPI ツリーを「商談数 → 商談化率 → リード数 → CV → CVR → CPC」の順で再設計しました。経営会議では「商談数」を最上位 KPI に統一し、マーケはリードの “数 × 質” の両軸で評価する体制に切り替え。これだけで、その後の打ち手の優先順位が劇的に明確になりました。

2. ランディングページの全面改善

ヒートマップ + GA4 のスクロール / クリックイベントで LP の離脱要因を区間ごとに計測。結果、以下の 3 領域に改善余地が集中していることが判明しました。

  • ファーストビュー — 抽象的なキャッチコピーで、誰の何を解決するプロダクトかが 3 秒で伝わらない
  • 訴求軸の散らかり — 機能を 12 個並列で並べており、優先順位が読み手に委ねられている
  • フォーム周辺 — 入力項目 14 個・3 ステップで、フォーム到達後の完了率が 59% に留まっていた

これらを段階的に 削除・統合・再設計 しました。

  • ファーストビュー — 「誰の」「何の課題を」「どう解決するか」を 1 行で示す Job-to-be-Done 型コピーに書き換え。サブで顧客の業種ロゴ列を配置 (社会的証明)
  • 訴求軸 — 12 機能を 3 つの利用シーンにグルーピング (リード獲得 / 商談化 / 顧客拡張)。読み手の課題に対応する形に再構成
  • フォーム — 入力項目を 14 → 7 個 に半減。「興味のある機能」など回答負担が大きい項目は完全削除、「従業員規模」は 3 段階に簡素化、「現在の課題」は任意化

LP のスクロール 50% 通過率は 58% → 79%、フォーム到達後の完了率も 59% → 76% に改善しました。

3. 商談化導線の「2 段化」

「資料 DL → いきなり商談打診」だった旧フローを、意思決定者へ届くまでの距離を踏まえて 2 段に分割しました。

  • Step 1: 資料 DL 直後 → 確認メールに加えて「3 分の自動診断」(プロダクト適合度スコア) への誘導
  • Step 2: 診断完了者 → 営業からの個別フォローで商談打診

診断ステップを挟むことで、リード自身に **「自社の課題と機能の対応関係」を整理してもらえる構造に。営業からの初回打診時には既に「興味の有無」「導入時期感」**が見えている状態を作りました。

4. ファネル可視化と運用体制

GA4 + CRM (HubSpot) の連携を再構築し、商談化率を週次でモニタリングできるダッシュボードを Looker Studio で構築。マーケ・営業・CS の 3 部門が同じ画面を見て週次定例を回す体制に変更しました。

これにより、「リード単価を下げるべきか / 商談化率を上げるべきか」の判断が、感覚値ではなく数値根拠で決まる運用になりました。

成果

指標BeforeAfter変化
LP 直帰率42%27%-35%
LP コンバージョン率 (LP → 資料 DL 完了)8.2%14.8%+80%
商談化率 (DL → 商談実施)7.5%13.6%+82%
商談化単価 (CPA / 商談ベース)¥38,400¥27,600-28%
月間商談数21 件38 件+81%

商談化率の改善が CPA を直接押し下げた結果、マーケ投資余力が拡大。広告予算を +25% 増額しても CPA は元水準の 78% に抑えられる状態になりました。

マーケと営業の合意形成が最大の成果

数値以上に大きかったのは、マーケと営業の評価指標が「商談数」に統一されたことです。それまでは「リードが多いのに商談化しない / 営業がリードをクローズしない」と相互に不信感がありましたが、共通 KPI のもとで月次レビューを行うようになり、双方が同じ問題に同じ向きで取り組めるチームに変化しました。

担当者からのご評価

「最初は『LP をいじるだけで何が変わるんですか』と懐疑的でしたが、データで離脱箇所を見せてもらって考えが変わりました。今は どの数値を見て週次定例を回すかまで完全に揃ったので、半期戦略の議論スピードが圧倒的に速くなりました。」

— マーケティング ご担当者様

学びと次のステップ

このプロジェクトで明確になったのは、「リード数」よりも「ファネル全体の通過率」が事業成長の制約要因になるフェーズが BtoB SaaS には存在するということでした。次フェーズでは、

  • 既存顧客の活用拡大 (アップセル / クロスセル) の自動化導線
  • ABM (Account-Based Marketing) の試験導入
  • PLG 要素の組み込み (フリートライアル → セルフサーブ)

を順次取り入れ、**「マーケ単独の戦い」から「マーケ × プロダクト × CS の三位一体」**へとアプローチを拡張していく予定です。

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