クライアント概要
家庭の不用品の出張買取サービスを運営する事業者です。買取品目はブランド品・貴金属・骨董品・楽器など多岐にわたり、**「地域に密着した即日対応」**を強みとしています。事業規模拡大に伴い、問合せ数の安定獲得と 広告費の効率化を両立することがマーケティングテーマになっていました。
背景となる事業課題
ご相談時点での主要課題は以下の 3 つでした。
- 問合せ数が月単位で安定しない — 月によって 5 倍以上の振れ幅があり、出張スタッフのシフトが組みづらい
- 地域競合が強く広告 CPC が高騰 — 「○○市 出張買取」のような地域 KW で同業他社と入札競争が激化
- SEO 対策が網羅できていない — 拠点都市数件のみの LP しか無く、近隣地域や品目別の検索意図に対応していなかった
経営層からは「地域 No.1 ポジションを取らないと、いずれ広告依存度が高すぎて利益率が悪化する」という課題意識が共有され、SEO と広告の両輪で安定獲得できる体制づくりが急務でした。
課題の構造化
過去 1 年の問合せデータと検索クエリを分析すると、以下の事実が見えてきました。
- **「地域名 + 出張買取」**の検索数の合計が、現状取れている問合せ数の 約 6 倍
- そのうち 65% が拠点 LP がカバーしていない近隣エリアから発生
- 媒体運用では「○○市 出張買取」のクエリが取れていても、LP 上で 対応エリアが明示されていないため離脱が多い
つまり、**「対応可能なエリアの検索意図に対して、SEO と LP の両方で正しく応える」**ことができれば、広告と自然流入の両方で問合せ数を伸ばせる構造が明確に見えました。
取り組み
1. エリア別 SEO 設計とローカル LP の量産
市区町村単位の検索意図に対応するため、ローカル LP を段階的に展開しました。
- 対象エリア選定 — 検索ボリューム × 競合性 × 出張対応可否の 3 軸で優先度をスコアリング
- LP テンプレート設計 — エリア名・対応時間・実績件数・買取品目を変数化して、効率的に量産できる構造に
- 構造化マークアップ —
LocalBusinessスキーマを各 LP に実装、Google ビジネスプロフィールとも連携
支援初期に 約 60 エリアの LP を公開。検索順位が上がるまでには一定の期間を要しますが、最終的に 70% 以上のエリア LP が検索 1 ページ目に入る状態になりました。
2. Google マップ広告と検索広告のセット運用
地域型サービスは 「マップ検索」と「Web 検索」の両方を押さえることが重要です。
- Google マップ広告 — 半径指定の地域配信で、出張対応エリア内のユーザーに優先表示
- 検索広告 — 「○○市 出張買取」のような地域 + サービス KW で訴求
- 連携運用 — マップ広告経由のユーザーは「即日対応」を強調、検索広告経由は「実績数 / 高価買取」を強調と、ファネルに応じた訴求を分離
両方を組み合わせることで、地域内ユーザーへのリーチ機会を大幅に拡大しました。
3. クリエイティブの AB 最適化
買取品目(ブランド品・貴金属・楽器など)ごとに 訴求パターンを分けて AB テストを実施しました。
- 品目別クリエイティブ — 「ブランド品なら高価買取」「貴金属の相場が高騰中」など、品目ごとの訴求を分離
- エリア別クリエイティブ — 「○○市の方限定キャンペーン」のような地域訴求を組み込み
- 訴求パターンの定期入替 — 月 1〜2 回の入替で、媒体側の機械学習に飽きを起こさせない運用
これにより CPC は安定的に下がり、広告経由の問合せ単価が -38% 改善しました。
4. 問合せフォームの簡素化
LP からフォーム到達後の離脱を減らすため、問合せフォームを大幅に簡素化しました。
- 入力項目を 11 個 → 5 個に削減
- 電話発信ボタンを常時表示(高齢層ユーザーが多いため)
- 「査定の流れ」を 3 ステップで可視化
フォーム完了率は 48% → 71% に改善しました。
成果
| 指標 | Before | After | 変化 |
|---|---|---|---|
| 月間問合せ数 | 平均 87 件 | 平均 178 件 | +105% |
| 自然流入 (オーガニック検索) | 月 2,400 セッション | 月 5,280 セッション | +120% |
| 広告 CPA | ¥7,200 | ¥4,900 | -32% |
| フォーム完了率 | 48% | 71% | +48% |
| エリア LP 平均順位 | 圏外〜30 位 | 平均 8.2 位 | 大幅改善 |
問合せ数の 月別の振れ幅も縮小し、出張スタッフのシフトが安定的に組めるようになりました。
地域戦略は「面で取る」発想が効く
数字以上に効いたのは、「拠点都市だけ抑えれば良い」発想から「対応可能エリアを面で取る」発想への転換でした。1 つの拠点で 30〜50 km 圏内に対応できるなら、その圏内のすべての市区町村が SEO の対象になり、そこに同時に広告も乗せる、というセオリーが明確になりました。
担当者からのご評価
「地域に根ざした集客の型ができたのが一番大きいです。これまでは『どこから問合せが来るか分からない』状態で対応していましたが、今はエリア別の問合せ予測まで立てられるので、スタッフ採用も計画的にできるようになりました。」
— 営業部長 様
学びと次のステップ
このプロジェクトで明確になったのは、地域型サービスにおいては「拠点別」ではなく「エリア網羅率」が事業成長の制約要因になるということでした。次フェーズでは、
- 隣接県への対応エリア拡大 (拠点間の中間地域への進出)
- 買取相場の動的表示 (相場が高騰中の品目を LP 上で訴求)
- リピート顧客向け CRM 配信 (家庭内の “次の不用品” 喚起)
を進め、新規獲得と LTV の両軸で事業を伸ばすフェーズに移行していく予定です。