課題
自社 EC でアパレルブランドを展開する同社では、「セール時期に広告費を集中投下して売上を作る」という運用が長年常態化していました。セール期の売上は確かに立つものの、値引き前提の購入が増えるため利益率は圧迫され、通常期は広告の費用対効果が合わず出稿を絞る、という悪循環に陥っていた状態です。
さらに深刻だったのは、広告経由の購入者の大半が既存リピーターだったことです。リターゲティング中心の配信設計により、「広告がなくても買っていたはずの顧客」に広告費を投下している構造が疑われましたが、社内には媒体レポートを横断的に検証できる担当者がおらず、確証を持てないまま運用が続いていました。
アプローチ
1. 広告アカウント診断と「増分価値」の検証
LOads はまず広告アカウント診断を実施し、配信の約 7 割がリターゲティングと指名検索に集中していることを定量的に可視化しました。あわせてリターゲティング配信の一時抑制テストを行い、抑制してもオーガニック・CRM 経由で購入が一定数発生する、つまり広告の増分価値が見かけの ROAS より大幅に低いことを検証データで提示。「どこに投資を移すべきか」を議論できる土台を作りました。
2. 商品フィード整備と P-MAX の再設計
新規顧客獲得の主軸として、Google の P-MAX とショッピング広告を再設計しました。鍵になったのは商品フィードの品質改善です。商品タイトルへの素材・シルエット・着用シーンの反映、カテゴリ階層の見直し、季節タグの整備により、検索クエリとのマッチング精度を向上。キャンペーンは利益率と在庫状況に応じて商品グループを分割し、「売りたい商品に予算が流れる」構造へ組み替えました。
3. Meta 広告による新規顧客の需要創出
Meta (Facebook / Instagram) では、既存顧客リストを除外した新規顧客専用キャンペーンを立ち上げました。クリエイティブは着用イメージ動画とスタイリング提案型のカルーセルを軸に、ブランドを知らない層が「世界観 → 商品 → 購入」へ進む導線を設計。セール訴求に頼らず、プロパー価格で購入される入口を作ることを徹底しています。
成果
支援開始後、通常期の ROAS は支援前平均と比較して 64% 改善。新規顧客経由の CV は約 1.9 倍に拡大し、広告が「リピーターへの値引き告知」ではなく「新規顧客獲得の投資」として機能する状態に転換できました。
売上構成にも変化が表れています。セール期に約 6 割が集中していた売上は約 4 割まで平準化され、通常期でも売上が立つ体質に。値引きに頼らない購入が増えたことで、在庫消化のコントロール性と利益率の改善にもつながっています。広告の数値改善だけでなく、事業の収益構造そのものを変えた事例として、同社内でも評価をいただいています。
LOads が担当した支援領域
- 広告アカウント診断 (配信構成の可視化 / 増分価値の検証テスト)
- 商品フィードの品質改善とショッピング広告 / P-MAX の再設計
- Meta 広告の新規顧客専用キャンペーン設計・運用
- クリエイティブ方針の策定 (動画 / カルーセルの型化)
- 週次の運用改善ミーティングと予算配分の意思決定支援