課題
全国流通の商品を多数展開する同社では、マーケティング予算の大半をテレビ CM と認知系デジタル広告 (動画・ディスプレイ) に投下していました。一方で、近年強化を始めた自社 EC (直販チャネル) への広告の売上貢献がほとんど可視化されておらず、「広告は出しているが、EC の売上が伸びているのかは分からない」という状態が続いていました。
既存の取引先である大手代理店のレポートは、インプレッション・視聴完了率・ブランドリフト調査が中心で、EC の CV・ROAS・新規顧客獲得といった事業数値と接続されていないことが構造的な課題でした。EC 部門としては「直販の売上に責任を持つ広告運用パートナーが欲しい」というニーズがあり、LOads にご相談をいただきました。
アプローチ
1. 評価軸の再設計 — 「認知の広告」と「獲得の広告」を分離
最初に行ったのは、媒体やクリエイティブの変更ではなく、KPI 体系の再設計です。ブランド認知を目的とする広告 (テレビ CM・大型動画施策) と、EC 売上を目的とする広告を明確に分離し、後者については EC 経由 CV / ROAS / 新規顧客比率の 3 指標で評価することを事業側と合意しました。計測面では、EC サイトのコンバージョン計測とオフラインも含めた重複排除の整理から着手し、「広告がいくら売上を作ったか」を週次で追える状態を短期間で構築しています。
2. 「商品名訴求」から「レシピ・利用シーン訴求」への転換
獲得側の広告クリエイティブは、従来は商品パッケージと商品名を前面に出した、いわばテレビ CM の静止画版でした。しかし自社 EC の購入データを分析すると、検索やソーシャルから流入するユーザーの多くは「商品名」ではなく「メニュー名・利用シーン」を起点に行動していることが分かりました。そこで、レシピ・献立・時短調理といった利用シーンを起点としたクリエイティブ群へ転換。Meta / YouTube では縦型のレシピ動画、Google では「メニュー名 + 簡単」「シーン + おすすめ」系のキーワードを軸とした検索広告を展開しました。
3. LINE を起点としたリピート導線の構築
食品 EC は単価が低く、初回購入だけでは広告費を回収しにくい構造です。そこで、初回購入者を LINE 公式アカウントの友だち追加へ誘導し、レシピ配信 → 定期的な再購入オファーへつなげる導線を広告設計に組み込みました。LINE 広告は新規獲得と CRM の両面で活用し、「1 回買って終わり」ではなく LTV ベースで広告投資を判断できる体制に切り替えています。
成果
支援開始後、EC 経由の CV は支援前比で 2.5 倍規模 (+152%) まで拡張。ROAS も約 87% 改善し、「広告費を増やすほど EC が赤字になる」という従来の構造から、広告投資が直販売上の成長ドライバーとして機能する状態へ転換できました。
特に大きかったのは新規顧客比率の変化です。従来の商品名訴求では既存ファンの指名買いが中心でしたが、レシピ・利用シーン訴求への転換により、新規顧客比率は 31% から 54% へ向上。ブランドを知らなかった層が EC の顧客として積み上がる構造が生まれ、LINE 経由のリピート導線と合わせて、直販チャネル全体の LTV 改善にも波及しています。
LOads が担当した支援領域
- 広告 KPI 体系の再設計 (認知 / 獲得の分離、ROAS・新規顧客比率の導入)
- EC コンバージョン計測の整備と週次レポーティング基盤の構築
- レシピ・利用シーン起点のクリエイティブ企画 / 制作ディレクション
- Google / Meta / YouTube / LINE 広告の運用
- LINE 公式アカウントと連動したリピート導線の設計