課題
食品・飲料メーカーである同社では、自社 EC とモール出店を併用しながら、Google・Meta を中心としたデジタル広告で販促を行っていました。しかし、気温や季節イベントによって需要が大きく上下するカテゴリ特性に対して、広告運用がほぼ「通年同じ設定」のままになっており、繁忙期には予算上限に当たって機会損失が発生し、閑散期には CPA が悪化するという波に毎年振り回されていました。
さらに、広告は媒体の自動入札に任せきりで、「なぜこの月は良かったのか / 悪かったのか」を説明できる人が社内にいない状態。製造・在庫サイドとの連携もなく、欠品中の商品に広告費が流れ続ける、逆に在庫が積み上がっている商品には配信が薄い、というチグハグも頻発していました。
アプローチ
1. 過去実績 × 季節要因の需要分解
支援初期に、過去の広告実績・EC 売上・検索需要データを月次 / 週次で分解し、「気温」「季節イベント」「メディア露出」のどの要因がどの商品の需要を動かしているのかを整理しました。その結果、主力カテゴリの需要は気温と高い相関を持ち、検索需要の立ち上がりは実売のピークより数週間先行することが確認できました。
2. 需要予測ベースの予算アロケーション設計
需要分解の結果をもとに、月次固定だった広告予算を、需要予測に連動して週次で再配分する運用に切り替えました。検索需要が立ち上がる「先行期」には検索広告と Meta のリーチを厚くし、ピーク期は刈り取り中心、需要が落ちる時期は定番商品の指名・リピート施策に寄せる、という季節フェーズ別の配分ルールを定義。媒体任せだった自動入札も、フェーズごとに目標値を見直す運用に変更しています。
3. 在庫連動の配信ルールとクリエイティブ出し分け
製造・在庫サイドと週次で在庫状況を共有するフローを整備し、欠品リスクのある SKU は配信を自動的に絞り、在庫が厚い SKU へ予算を振り替えるルールを導入しました。クリエイティブも、定番商品は「習慣・リピート」訴求、シーズン商品は「いまだけ・季節感」訴求と役割を分け、配信面ごとに静止画 / 短尺動画を出し分けています。
成果
支援開始後、EC 経由売上は支援前比で約 1.7 倍 (+68%) に拡大。同時に CPA は約 18% 改善し、「繁忙期に売上を伸ばすと効率が崩れる」という従来のトレードオフを、季節フェーズ別の運用設計で乗り越えることができました。
特に効果が大きかったのは、検索需要の先行性を利用した**「先行期の仕込み配信」**で、ピーク期に予算上限へ到達して配信が止まる機会損失がほぼゼロになりました。また、在庫連動ルールの導入により、欠品商品への無駄配信が解消され、広告と供給サイドが同じデータを見て動く体制が同社の中に定着したことも、長期的な資産になっています。
LOads が担当した支援領域
- 過去実績 × 季節要因の需要分解と予測モデルの設計
- 季節フェーズ別の予算アロケーション / 入札目標の運用設計
- Google・Meta 広告の運用改善 (検索 / リーチ / リピート施策の使い分け)
- 在庫状況と連動した配信コントロールルールの整備
- 定番 / シーズン商品別のクリエイティブ出し分けとディレクション