課題
複数の学習サービスを展開する同社では、サービス・事業部ごとに広告アカウントとキャンペーンが乱立し、全体としての投資効率を誰も把握できない状態になっていました。各事業部がそれぞれ別の代理店や社内担当で運用していたため、同じ検索キーワードに社内の複数サービスが入札し合う「社内競合」も発生。媒体の自動入札に必要なコンバージョンデータも分散し、キャンペーン単位では学習が進まないという構造的な非効率を抱えていました。
さらに教育サービス特有の事情として、受験期・新学期前に需要が集中する一方、予算配分は年間一律のままという問題がありました。需要のピークに投資を寄せられず、繁忙期の機会損失と閑散期の無駄打ちが同時に起きている状態です。LOads には、広告アカウント診断を入口に、運用全体の再設計のご相談をいただきました。
アプローチ
1. アカウント構造の診断と「社内競合」の可視化
支援初期に、全サービスの広告アカウントを横断的に診断しました。検索クエリレポートを突き合わせ、複数サービスが同一キーワードに入札しているゾーンと、その重複コストを定量化。あわせて、キャンペーンが細分化されすぎてコンバージョンデータが分散し、自動入札の学習が成立していない箇所を特定しました。
2. 学習が回るキャンペーン構造への再編
診断結果をもとに、キャンペーン数を約 1/3 に集約。「サービス別」ではなく「ユーザーの検討フェーズ別」に構造を組み替え、指名検索・一般検索・比較検討の 3 レイヤーでデータが集まる設計に変更しました。SNS 広告は認知・興味喚起側、リターゲティングは検討離脱者の引き戻しと、媒体ごとの役割分担も明確化しています。
3. 教育カレンダーに合わせた予算アロケーション
受験期・新学期・夏期講習前といった教育特有の需要カレンダーに合わせて、四半期単位で予算を傾斜配分する運用ルールを設計しました。繁忙期は獲得最大化、閑散期は指名・リターゲティング中心の効率運用に切り替えるサイクルを定着させ、サービス横断のレポート基盤 (Looker Studio) で事業部をまたいだ意思決定ができる体制を整えています。
成果
移管後、入会申込の CPA は約 31% 改善。キャンペーン集約によって自動入札の学習が安定し、同じ予算でも獲得効率が大きく向上しました。繁忙期の CV ボリュームは支援前比で1.7 倍規模まで拡大し、「需要が来てから慌てて増額する」運用から「需要を見越して先に仕込む」運用への転換が実現しています。
また、サービス横断のレポート基盤により、どのサービスにいくら投資すべきかを経営レイヤーで議論できるようになったことも、同社が評価しているポイントです。広告運用の改善にとどまらず、マーケティング投資の意思決定構造そのものを変えた事例となりました。
LOads が担当した支援領域
- 広告アカウント診断 (社内競合・重複コストの定量化)
- キャンペーン構造の再設計 (検討フェーズ別レイヤリング)
- 検索 / SNS / リターゲティングの媒体役割設計と運用
- 教育需要カレンダーに基づく予算アロケーション設計
- Looker Studio によるサービス横断レポート基盤の構築