クライアント概要
幅広い業界に向けて クラウド導入支援・セキュリティ強化・DX 推進などのソリューションを提供するシステムインテグレーション事業者です。長年の取引先企業基盤がある一方、新規顧客の獲得は営業による属人的アプローチに依存しており、再現性のあるマーケティング基盤の構築が経営テーマになっていました。
背景となる事業課題
ご相談時点での主要課題は以下の 3 つでした。
- 新規顧客獲得が紹介・既存営業頼り — マーケティング起点のリードは月数件レベルで、営業の負荷集中も課題
- コーポレートサイトの SEO 設計が手薄 — サービス紹介ページは網羅されているものの、検索意図に対応した情報設計になっていなかった
- BtoB 媒体の運用ノウハウが社内に乏しい — LinkedIn や Meta Lead Ads は出稿経験がなく、媒体特性も整理されていなかった
経営層からは「MQL を 1.5 倍にし、その後の商談化までの仕組みを整える」というオーダーがありました。
課題の構造化
業界の検索行動分析と顧客の意思決定プロセスを分解すると、次の構造が見えました。
- 検討者は具体的な「課題ワード」から検索する — 「クラウド 移行 課題」「セキュリティ 対策 製造業」などの 領域 × 業界 × 課題の組合せで検索される傾向
- 競合 SIer はサービス紹介ページのみで対応 — 検索意図に対応する 情報設計型ハブページが存在しない
- BtoB 領域は LinkedIn での職種ターゲティングが効く — 情シス / 経営企画 / DX 推進部などへの直接アプローチが可能
つまり、「課題ワード」を入口にした SEO ハブと、職種ターゲティング広告を組み合わせれば、MQL を体系的に増やせる構造が明確になりました。
取り組み
1. 3 領域のハブページ設計
主力 3 領域(クラウド / セキュリティ / DX)ごとに、情報設計型のハブページを構築しました。
- ピラー記事 — 各領域 1 本、検索意図を網羅する 5,000 字以上の全体ガイド
- クラスター記事 — 業界別 / 課題別の派生記事を各 8〜10 本ずつ展開
- CV 動線 — 各ページから「ホワイトペーパー DL」「個別相談予約」へ自然に誘導
合計 30 本以上の記事資産が積み上がり、主要 KW での検索順位が平均 24 位 → 9 位に向上しました。
2. ホワイトペーパー 12 本の制作
BtoB の意思決定プロセスでは、**「すぐ商談」ではなく「まず情報を集める」**ユーザーへの対応が重要です。
- 業界別ホワイトペーパー — 製造業 / 金融 / 物流など、業界特化の課題と解決策をまとめた資料
- 領域別チェックリスト — 「クラウド移行の準備チェック」「セキュリティ診断シート」などの実用ツール
- 事例集 — 過去の導入事例を匿名化してパッケージ化
これらをコンテンツのリード獲得用 CTA として配置することで、問合せより低いハードルで温度感のあるリードを獲得できるようになりました。
3. BtoB 特化の媒体ミックス
媒体ごとの強みを活かして配信を設計しました。
- LinkedIn Ads — 情シス / 経営企画 / DX 推進部の役職にターゲティング。ホワイトペーパー DL を直接 CV に
- Meta Lead Ads — フォームを Meta 内で完結させ、入力ハードルを下げる。「中堅企業の DX 担当」向け訴求
- Google 検索広告 — 顕在 KW を補完。指名外の検討フェーズで広告が露出する設計
- リターゲティング — コンテンツ閲覧者を後追いし、商談化のタイミングを揃える
LinkedIn / Meta は SIer 業界での運用経験が少ない媒体だったため、支援初期は学習期間として小予算で検証し、効果が見えてから本格出稿に切り替えました。
4. MA 連携と商談化導線
リードを商談に結びつけるための ナーチャリング基盤を整備しました。
- MA ツール(HubSpot)の導入と運用設計 — リードのスコアリングと自動メール配信のルール化
- インサイドセールスとの連携 — 一定のスコアに達したリードを優先的にフォロー
- 営業との情報連携 — 商談時に「過去どの記事を読んだか / どの資料を DL したか」が見える状態に
これにより、営業がコンテキストを持って初回商談に臨めるようになり、商談化率も改善しました。
成果
| 指標 | Before | After | 変化 |
|---|---|---|---|
| 月間 MQL 数 | 28 件 | 52 件 | +85% |
| 自然流入 (オーガニック検索) | 月 1,200 セッション | 月 2,340 セッション | +95% |
| CPL(リード単価) | ¥18,500 | ¥14,400 | -22% |
| MQL → 商談化率 | 22% | 35% | +13pt |
| 商談化単価 | ¥84,000 | ¥41,100 | -51% |
特に 商談化単価が大幅に改善したことで、営業 1 人あたりの商談数が増え、属人的だった新規開拓が組織として再現性のある形になりました。
「ハブページ」が SEO と CV の両方を支える
数値以上に効いたのは、情報設計型ハブページが SEO 流入と CV 動線の両方を担う構造でした。サービス紹介だけのページでは「検索意図に応えない / コンバージョン動線が遠い」の両方の問題が起きますが、ハブページは両方を 1 つの導線で解決します。
担当者からのご評価
「BtoB 領域の理解が深いのが大きいです。LinkedIn 広告のような媒体特性、ホワイトペーパーのテーマ選定、MA の運用設計まで、断片的な施策ではなく 一気通貫で見てもらえているのを感じます。**営業からも『この資料を読んだ人なら話が進めやすい』**と評価が上がっています。」
— マーケティング部門長 様
学びと次のステップ
このプロジェクトで明確になったのは、SIer のような検討期間の長い業界では「情報設計 + ナーチャリング + 媒体ミックス」の三位一体が機能するということでした。次フェーズでは、
- ABM (Account-Based Marketing) の導入 — ターゲット企業を限定してパーソナライズドアプローチ
- ウェビナー / セミナーの定期開催 — オフラインを含めたリード獲得チャネルの拡張
- 既存顧客への CS 起点アップセル — 新規だけでなく既存深掘りも仕組み化
を進め、**「マーケが新規を取って、営業が刈り取る」から「マーケ・営業・CS が一体で事業を伸ばす」**フェーズへ移行していく予定です。