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Webサイト戦略は見積もりの前に位置づけと5つの要件を固める

Webサイト戦略を、入口から商談化までの5つの導線に分け、どこで止まっているかを見極めて直す順番を実務目線で整理します。
Webサイト戦略を入口から商談化までの5つの詰まり地点に分けて直す場所を見極めるアイキャッチ

Webサイト戦略とは、事業の中で自社サイトに何を任せるかという位置づけを決め、その役割を果たせるようにページ構成・KPI・改善体制を設計することです。位置づけが曖昧なまま制作やリニューアルへ進むと、見た目は新しくなっても、成果の出方は変わらないことがあります。

Webサイト戦略を調べる担当者の多くは、サイトの作り方そのものより、自社サイトをどう位置づけ、どこまで直すべきかを判断したいはずです。リニューアルの見積もりを取る前に決めておくことを、順番に整理します。

判断の順番はシンプルです。まず事業モデルからサイトの位置づけを決め、次にページの役割設計とサイト単位のKPIを固め、最後にリニューアルか部分改修かを選びます。位置づけ→役割設計→KPI→投資判断という順番で進めれば、制作会社の見積もりに振り回されずに意思決定できます。

この記事でわかること

  • 事業モデル別のサイトの位置づけ4類型
  • ページに役割を割り当てる設計の考え方
  • サイト単位のKPIの決め方
  • リニューアルか部分改修かの判断基準

Webサイト戦略とは?サイトの位置づけを決めることから始まる

Webサイト戦略の出発点は、施策の選定ではなくサイトの位置づけの決定です。自社サイトは、リード獲得の主戦場なのか、営業活動を補助する名刺代わりなのか、採用や信頼形成のための場なのかで、必要なページも予算のかけ方も変わります。

戦略と戦術の違いも、ここで整理しておくと判断がぶれません。戦略は「サイトに何を任せ、どの数字で成果を測るか」という方向づけで、戦術はSEO・広告・LP改善など個別の打ち手です。戦術の入れ替えだけを繰り返しても、位置づけが決まっていなければ成果の基準そのものが定まりません。 これが、施策より先にWebサイト戦略が必要性を持つ理由です。

なお、戦略の策定手順そのものは3C分析やSWOT分析などのフレームワークを使って進める方法が知られていますが、フレームワークは道具にすぎません。分析の前に、この記事で扱う位置づけと役割設計の論点を押さえておくと、分析結果を実際のページ構成へ落とし込めます。

Webサイト戦略がいま必要とされる背景には、顧客の情報収集の変化があります。BtoBでも消費者向けでも、比較検討の大半が問い合わせや来店の前にWeb上で済まされるため、サイトは「あると望ましいもの」ではなく商談や購入の前半戦を担う営業資産になっています。任せる範囲を決めずに運用すると、この前半戦を競合サイトに譲ることになります。

Webサイト戦略で決めることは、次の5つに分けられます。

決めること内容決まっていないと起きること
位置づけ事業の中でサイトに任せる役割誰のためのサイトか曖昧になる
役割設計どのページが何を担当するかページ追加が場当たりになる
KPIサイトの成果を測る数字改善の良し悪しを判断できない
改善体制誰がいつ何を直すか公開後に放置される
更新投資の判断部分改修かリニューアルか見積もり金額だけで決めてしまう

なお、SEO・広告・SNSまで含めた全社レベルのWeb戦略の考え方は、次の記事が全体像を扱っています。この記事は、その中でWebサイトという資産に絞った設計を担当します。

この記事もおすすめ|Web戦略とは?Web集客・広告・サイト改善を事業成果につなげる考え方|集客・広告まで含めた全社Web戦略の概念を整理でき、本記事のサイト戦略を全体の中に位置づけられます。|

事業モデル別に見る戦略的Webサイトの4類型

戦略的なWebサイトの例を考えるときは、デザインの良し悪しではなく、事業モデルとサイトの主目的が一致しているかを見ます。実務では、次の4類型のどれを主とするかを決めると、必要なページと優先順位を判断しやすくなります。

類型主目的成果を測る数字中心になるページ
BtoBリード獲得型問い合わせ・商談の創出有効リード数、商談化率サービス、事例、料金、フォーム
EC・直販型オンラインでの購入売上、購入率、リピート率商品、カート、レビュー
採用・ブランディング型応募と信頼の獲得応募数、指名検索数採用情報、社員紹介、実績
店舗・地域集客型来店・予約の獲得予約数、電話、経路検索店舗情報、予約、アクセス

多くの企業サイトは、この4類型が1つのサイトに混在しています。混在自体は問題ではありませんが、==主目的を1つに絞らないと、トップページの構成もKPIも決められません==。たとえばBtoBリード獲得を主とするなら、採用情報は残しつつ、トップの導線はサービス理解と問い合わせを優先します。

匿名化した実務ケースとして、製造業の受託加工会社が「会社案内型」から「BtoBリード獲得型」へ位置づけを変えた例を考えます。変えたのはデザインではなく、加工事例ページを検索の入口に据え、対応可能な素材・ロット・納期を明記し、図面添付付きの見積もりフォームをCVに設定した点です。位置づけの変更がページ構成の変更として表れるのが、戦略的なWebサイトの特徴です。

逆に、位置づけを決めずに「他社にあるページを一通り揃える」進め方をすると、ページ数は増えても、どのページも判断材料として浅くなります。==自社の主目的に対して深いページを持つことが、類型の網羅より優先==です。

総務省の情報通信白書では、企業活動におけるデジタル活用の広がりが整理されています。顧客が商談前にWebで情報収集を済ませる度合いが高まるほど、サイトの位置づけは営業活動の一部として設計する必要があります。

アズくんワンポイント: え、うちのサイトって会社案内とリード獲得の両方をやろうとしてたかも…。どっちが主か決めないと、直す場所も決められないんだね!

ページの役割設計で「どのページが何を担うか」を決める

Webサイトを入口・受け皿・納得形成・CV・営業接続の5つの役割に分解した構造図

位置づけが決まったら、サイト内の各ページに役割を割り当てます。ページは「入口」「受け皿」「納得形成」「CV」「営業接続」の5つの機能のどれかを担うと考えると、抜けているページと余分なページを判断できます。

機能担当するページの例設計で決めること
入口SEO記事、広告LP、SNSプロフィールどの温度感の訪問者を迎えるか
受け皿トップ、サービスページ何を理解してもらうか
納得形成事例、料金、FAQどの不安を減らすか
CVフォーム、資料DL、予約どの行動を成果として扱うか
営業接続サンクスページ、CRM連携問い合わせ後に誰が何を見るか

役割設計のポイントは、既存ページを一覧にして5つの機能のどれを担っているかを書き出すことです。どの機能にも当てはまらないページは統合や削除の候補になり、機能が空白の箇所は新設や補強の候補になります。==リニューアルの要否を判断する前に、この役割マップを作ること==が、見積もり比較よりも先に行う作業です。

役割の割り当ては、企業が見せたい順番ではなく、訪問者の状態に合わせて行います。課題を認識したばかりの人には解説記事、比較中の人には施策比較や費用の考え方、相談を迷っている人には事例やFAQというように、顧客の状態ごとに見たいページが異なるためです。

顧客の課題認知から商談化までの状態にページ役割を対応させた設計マップ

役割マップを作ると、情報設計の議論も具体的になります。「トップに何を載せるか」という抽象的な議論ではなく、「受け皿としてサービス理解に必要な要素が揃っているか」「納得形成を担う事例が入口から2クリック以内にあるか」という機能単位の確認に変わるためです。制作会社との打ち合わせでも、この粒度で要望を伝えると提案の精度が上がります。

検索エンジンから入口ページを増やす場合の基本的な考え方は、Google公式のSEOスターターガイドで確認できます。役割設計の段階では、入口を増やす前に受け皿と納得形成のページが揃っているかを先に確認してください。

ワンポイントアドバイス: 役割マップは主要20〜30ページ分で十分です。全ページを網羅するより、問い合わせに近いページから割り当てると判断が早くなります。

役割を割り当てたあとの、CTA・フォーム・内部リンクなど導線の実装改善は、次の記事が具体策を扱っています。

この記事もおすすめ|Webサイト集客はページを増やす前に主要6ページの役割を割り振る|問い合わせを増やす導線・CTA・フォーム改善|役割設計で決めた各ページを、実際に問い合わせへつなぐ導線・CTA・フォームの改善手順を確認できます。|

サイト単位のKPIが投資判断の物差しになる

問い合わせ数を流入・サービスページ到達・フォーム到達・商談化率へ分解したKPIツリー

Webサイト戦略のKPIは、サイト全体の目的から逆算して決めます。BtoBリード獲得型なら、問い合わせ数を流入、サービスページ到達、フォーム到達、商談化率へ分解すると、どの段階の改善に投資すべきかを判断できます。

試算例として、月10件の有効リードが目標で商談化率が50%、フォームCVRが1%なら、必要なサービスページ到達は月2,000前後という逆算になります。数字自体は事業ごとに異なりますが、逆算の型を持つことで、リニューアルや広告出稿の投資判断に根拠を持てます。

Google アナリティクス ヘルプのキーイベントに関する説明では、ビジネス上重要なユーザー行動を計測する考え方を確認できます。サイト戦略では、フォーム送信だけでなく、サービスページ到達や資料DLなど中間指標もキーイベントとして設計しておくと、改善の効果を段階ごとに確認できます。

==KPIはサイトを直す順番の根拠であると同時に、リニューアルの成否を測る物差し==にもなります。リニューアル前に現状値を記録していないと、公開後に成果が上がったのか判断できません。

現状分析からKPI逆算、施策選定までの戦略立案の手順全体は、次の記事が6手順で整理しています。

この記事もおすすめ|Web戦略の作り方は現状分析からKPI逆算まで6ステップで進める|現状分析からKPI逆算・改善運用まで解説|KPI逆算を含む戦略立案の全手順を確認でき、本記事のサイト戦略を実行計画に落とせます。|

リニューアルか部分改修かを見極める判断基準

Webサイト戦略で最も金額が大きい判断が、リニューアルの要否です。実務では、課題が構造にあるのかページにあるのかで切り分けると、過剰な投資を避けられます。

現状の課題部分改修で足りる例リニューアルを検討する例
問い合わせが少ないフォーム・CTA・料金ページの改善サイト構造上、サービス理解の動線が作れない
検索流入が少ない記事追加・既存ページの改善ページ追加や編集が技術的に困難
情報が古い該当ページの更新体制づくり更新をどこにも足せない構造になっている
スマホで見づらい主要ページのみ最適化サイト全体が非対応で個別対応が高くつく
事業内容が変わったサービスページの追加・改稿位置づけ自体が現事業と合っていない

判断の材料には、現状の検索パフォーマンスを使います。Search Consoleを使い始めるための公式ガイドで確認できるクエリ・表示回数・クリックは、どのページが入口として機能しているかの実測値です。流入を集めているページを把握せずに作り直すと、成果を出している資産まで壊すことがあります。

!!URL・リダイレクト・計測を引き継がないリニューアル!!は、検索流入と過去データを失う典型的な失敗です。制作会社の見積もりを比較する前に、既存URLの扱い、301リダイレクトの設計、GA4とSearch Consoleの継続を要件に含めてください。

デザインの古さだけを理由にしたリニューアルにも注意が必要です。見た目の刷新は着手しやすい一方で、位置づけ・役割設計・KPIを変えないリニューアルは、課題もそのまま引き継ぎます。==部分改修で検証できることを先に試し、構造の限界を確認してからリニューアルを判断する==順番が、投資額に対して安全です。

リニューアルを決めたら発注前に5つの要件を固める

リニューアルに進むと決めた場合も、いきなり制作会社へ相見積もりを取るのではなく、発注前に自社で固めておく要件があります。要件が曖昧なまま依頼すると、提案がデザイン案の比較になり、戦略の議論が抜け落ちます。

要件固める内容曖昧なまま進めた場合のリスク
目的とKPI主目的1つと現状値・目標値公開後に成果を検証できない
引き継ぐ資産流入上位ページ、既存URL、計測設定検索流入と過去データを失う
役割マップ新サイトの各ページの機能ページ構成が制作会社任せになる
運用体制公開後の更新担当と更新範囲更新できないCMS・構造で納品される
検証計画公開後90日で確認する数字と判断日公開がゴールになり改善が止まる

このうち読者の環境で差が出やすいのが引き継ぐ資産の整理です。流入上位ページのURLと順位、GA4・Search Consoleの設定、広告のCV計測を一覧にしておくと、制作会社側もリダイレクトと計測移行を見積もりに含められます。

公開後90日の検証計画は、リニューアルを単発の制作で終わらせないための仕組みです。公開直後は検索順位が変動しやすいため、1〜2週間の数字で成否を断定せず、事前に決めた判断日で現状値と比較してください。

ワンポイントアドバイス: 要件5つのうち、目的とKPI・引き継ぐ資産の2つだけでも発注前に文書化してください。この2つがあるだけで、提案の比較軸が価格とデザインから成果の設計に変わります。

外部に相談するかどうかは実行体制で決める

リニューアルや役割設計は、社内だけでも進められます。判断の分かれ目は知識の有無よりも、分析と改善を続ける実行体制があるかです。実務では、次の3つに分けて考えます。

  • 内製で継続: 役割マップとKPIを作れる担当がいて、月次で数字を見る場が既にある
  • 部分支援: 方針は決められるが、計測設定・SEO・LP改善など特定領域の実行が足りない
  • 戦略設計から相談: 位置づけやKPIが決まらず、リニューアル要否の判断材料も揃っていない

外部へ相談する場合は、次の4点を整理しておくと提案が具体的になります。すべてが揃っていなくても、何が決まっていないかを伝えられれば十分です。

相談前に整理する4点

  • 現状のKPI値(流入・CV・商談化)
  • 主要ページの役割マップ
  • 事業側の目標と期限
  • 社内で実行できる範囲

ワンポイントアドバイス: 相談先を比較するときは、制作物の見積もり金額より先に「どの数字を改善対象とするか」の説明を求めてください。ここが曖昧な提案は、公開後の成果を検証できません。

よくある質問

Q. Webサイト戦略は何から決めればよいですか?

最初に決めるのは、施策ではなくサイトの位置づけです。事業の中でサイトに任せる主目的を1つ決め、次に主要ページの役割マップとKPIを作ります。リニューアルの検討は、この3つが揃ってからのほうが投資判断を誤りにくくなります。

Q. 戦略的なWebサイトと普通のサイトの違いは何ですか?

普通のサイトは、会社情報やサービス情報を掲載した時点で完成とみなされがちです。戦略的なWebサイトは、事業モデルに合わせた位置づけが決まっており、各ページの役割と成果を測る数字が定義され、公開後も改善が続く体制を持っています。見た目ではなく、設計と運用の有無が違いです。

Q. サイトが古い場合、すぐリニューアルすべきですか?

古さだけでは判断できません。課題がページ単位なら部分改修で検証するほうが早く、費用も抑えられます。構造上ページを追加できない、スマホ非対応、事業内容と位置づけが合っていないなど、構造の限界が確認できた場合にリニューアルを検討してください。

Q. Webサイト戦略は自社だけで作れますか?

位置づけ・役割マップ・KPIの整理は自社でも作れます。一方で、計測環境が整っていない、KPIの現状値が分からない、リニューアル要否の判断材料が揃わない場合は、診断や設計の部分だけ外部の視点を入れると意思決定が早くなります。

まとめ

Webサイト戦略は、サイトの位置づけを決め、ページに役割を割り当て、KPIを物差しにして投資判断を行う一連の設計です。事業モデル別の4類型から主目的を1つ決めると、必要なページと直す順番を判断しやすくなります。

リニューアルの検討は、役割マップとKPIの現状値を揃えてからにしてください。部分改修で検証できることを先に試し、構造の限界を確認してから作り直す順番が、投資額に対して安全です。

次の一歩としては、主要ページの役割マップを1枚作り、どの機能が空白かを確認することから始めてください。位置づけと役割が決まれば、制作会社との会話も見積もり比較から設計の議論に変わります。

参考にした公式情報

執筆者情報
LOads 代表取締役 綱脇 耕輔

執筆者情報

LOads 代表取締役 綱脇 耕輔

Webマーケティング会社・大手Web系企業を経て独立し、デジタルマーケティング業界で14年のキャリア。2018年より東京・福岡を中心に、Web広告運用やSEO対策・AIO対策などのデジタルマーケティング支援を大手・中小企業問わず行っています。100社以上のマーケティング支援の現場で得た知見をもとに、独自の知見とナレッジでコラムを発信しています。