質問BOX 同業者の皆様へ 運営会社

BtoBマーケティング施策30の一覧から体制1〜2名で回る打ち手を選ぶ

BtoBマーケティング施策30個を、必要な人手と成果が見え始めるまでの期間つきで一覧化します。
BtoBマーケティング施策30を段階別に一覧化し必要リソースと成果までの期間を示すアイキャッチ画像

BtoBマーケティングの施策一覧を探すとき、多くの担当者が求めているのは「打ち手の選択肢を漏れなく知りたい」という状態です。年度計画や施策会議の前に、抜けている手がないか確認したい場面が多いと思います。

ただ、施策リストを手に入れた後で、次の壁にぶつかります。30個並んでいても、マーケ担当が1〜2名の会社が今期実行できるのは、私の実務見解では3つ程度です。施策名の網羅と、自社で回せる打ち手の選定は別の作業になります。

そこでこの記事では、BtoBマーケティング施策を認知・リード獲得・育成・商談化・既存顧客の5段階で30個一覧にしたうえで、==それぞれに「必要な人手」と「成果が見え始めるまでの期間」を併記します。== この2列があると、一覧を眺めるだけの状態から、自社の体制で回るかどうかの判断へ進めます。

後半では、リード数・社内体制・商材単価の3問で、30個から自社の初手3つまで絞る手順を置きました。

この記事でわかること

  • 段階別に整理した施策30個の一覧
  • 施策ごとの必要な人手と成果までの期間
  • 3問で初手3つに絞る手順
  • 兼任体制では回りにくい施策の見分け方

BtoBマーケティング施策の全体像は5段階で捉える

BtoBマーケティング施策は数が多く見えますが、顧客が「課題に気づく」から「継続して使う」までのどこを担うかで5段階に分かれます。段階でまとめると、施策名を覚える作業から、自社に欠けている役割を探す作業へ変わります。

段階担う役割この段階が弱いときの症状
認知・流入課題に気づく接点をつくるそもそも問い合わせ母数が少ない
リード獲得連絡できる状態にする訪問はあるが名前が残らない
リード育成検討を進める材料を渡すリストはあるが動きがない
商談化・受注支援営業が追える条件をそろえる商談化率と受注率が上がらない
既存顧客・LTV継続と単価を伸ばす新規獲得だけで粗利が下がる

Google アナリティクスのビジネス目標でも、目的に応じて見るべきレポートを切り替える考え方が示されています。施策選びでも同じで、最初に決めるのは媒体ではなく、どの段階の数字を動かしたいのかです。

次章からの一覧は、この5段階の順に並べています。上から順に読むのではなく、自社で症状が出ている段階の表だけを先に見ると、検討する施策の数を最初から絞れます。

BtoBは検討期間が長く関与者も多いため、認知だけ、あるいは獲得だけを強化しても数字が動きにくい構造があります。段階をまたいで穴が空いていないかを確認してください。

施策一覧30をリソースと成果までの期間つきで並べる

ここからが施策一覧の本体です。各表の「必要な人手」と「成果が見え始めるまで」は、LOadsが支援してきた中小・中堅企業の進み方から見た実務上の目安であり、保証された数値ではありません。商材や既存資産によって前後します。

「成果が見え始めるまで」は受注が出るまでの期間ではなく、その施策が機能しているかを判断できる最初の兆候が出るまでの期間として読んでください。SEOなら表示回数、広告ならクリックとLP行動、メールなら開封と再訪が先に動きます。

認知・流入をつくる施策(8個)

施策何をするか必要な人手の目安成果が見え始めるまで
SEO記事課題語で検索する層に記事で接点を持つ月0.5〜1名分(制作込み)4〜6か月
検索広告顕在層の検索に広告を出す月0.2〜0.5名分2〜4週間
ディスプレイ・リタゲ広告訪問者を追いかけて再訪を促す月0.1〜0.3名分3〜6週間
SNS広告属性や職種で絞って資料を配る月0.2〜0.5名分3〜6週間
SNSアカウント運用専門性を発信し指名検索を増やす月0.3〜0.5名分6か月以上
プレスリリース新製品や調査結果を報道向けに出す1本あたり3〜5人日配信直後〜2週間
比較・掲載メディア出稿比較検討層が集まる場に載る初期2〜3人日+月次確認1〜3か月
動画・ウェビナーアーカイブ説明が長い商材を映像で伝える1本あたり3〜7人日2〜4か月

認知施策は、入口の数字だけで評価しないことが重要です。 クリック単価が安くても対象外の企業ばかり集まるなら、後工程で商談になりません。表示回数やクリックを見る際は、必ず後段のMQL化率と並べて確認してください。

リードを獲得する施策(7個)

施策何をするか必要な人手の目安成果が見え始めるまで
ホワイトペーパー課題整理資料と引き換えに連絡先を得る1本あたり5〜10人日公開後1〜2か月
導入事例集のダウンロード事例をまとめて中間CVにする1本あたり3〜5人日公開後1〜2か月
展示会出展業界の来場者と名刺を交換する準備20〜30人日+当日開催直後(追客は3か月)
自社セミナー・ウェビナー検討層へ詳しく説明する場を持つ1回あたり5〜8人日開催後2〜6週間
共催ウェビナー他社のリストと相互に接点を広げる1回あたり5〜8人日開催後2〜6週間
フォームマーケティング企業の問い合わせ窓口へ提案を送る月0.2〜0.4名分2〜4週間
LP・フォーム改善既存の流入を取りこぼさない受け皿にする初期5〜10人日2〜6週間

広告からリードを取る施策を選ぶ場合は、Google広告のリードフォームアセットのように、広告面で直接フォーム送信を受ける仕組みも選択肢になります。ただし送信数が増えても、営業フォローの体制がなければ商談化には届きません。

==流入がすでにあるのにCVが少ない場合、新しい獲得施策を足すよりLP・フォーム改善が先に効きます。== 費用も期間も小さく、他のすべての獲得施策の成果を底上げするためです。一覧の中では最も着手順位を上げやすい施策と考えています。

この記事もおすすめ|BtoBホワイトペーパーで商談化する作り方と営業連携の全手順|一覧の中でホワイトペーパーを選ぶ場合に、テーマ設計・フォーム・営業引き渡しまで深掘りできます。|

リードを育てる施策(7個)

施策何をするか必要な人手の目安成果が見え始めるまで
メルマガ配信既存リストへ定期的に情報を届ける月0.2〜0.4名分3〜6か月
ステップメール資料DL後の流れを自動で組む初期5〜10人日設定後1〜2か月
MA導入・スコアリング行動を点数化し優先度を付ける初期20〜40人日+月次運用6か月以上
インサイドセールスの架電電話で検討状況を直接確かめる専任0.5〜1名分2〜6週間
休眠リードの掘り起こし過去リードへ再アプローチする初期3〜5人日2〜8週間
活用情報・ニュースレター検討外の期間も接点を切らさない月0.2〜0.3名分6か月以上
Web接客・チャット迷っている訪問者にその場で答える初期3〜5人日1〜2か月

育成施策は成果が見えるまでが長く、途中でやめると投じた工数がまるごと消える性質があります。始める前に半年続けられる体制かを確認してください。特にMA導入は、運用する人がいないまま契約するとツール費だけが残ります。

!!リードの母数が数百件規模に届かない段階でMAを導入すると、自動化する対象がないまま月額費用と設定工数だけが発生します。!! MAは、手作業の育成が回り始めてから検討する方が失敗しにくいです。

この記事もおすすめ|BtoBマーケティングオートメーションで迷ったら90日の最小運用で試す|MA導入を候補に入れる場合に、最小構成での試し方と判断基準を確認できます。|

商談化・受注を支える施策(5個)

施策何をするか必要な人手の目安成果が見え始めるまで
MQL/SQL定義と営業SLA営業へ渡す条件と対応期限を決める初期3〜5人日(営業と合意)1〜2か月
営業資料・提案書の整備説明のばらつきをなくす初期5〜10人日1〜3か月
導入事例・ROI資料稟議で使える判断材料を渡す1本あたり3〜7人日2〜4か月
比較表・競合対策資料他社との差を営業が説明できる形にする初期3〜5人日1〜3か月
ABM(重点企業への個別提案)狙う企業を決めて個別に接触する専任0.5名分以上3〜6か月

この段階の施策は、新しい流入をつくらないため軽視されがちですが、投じる工数に対して動く数字が大きいと感じています。MQL/SQL定義は数人日の合意作業で、獲得したリードの扱われ方が変わるためです。リードは足りているのに商談が増えないなら、ここから見てください。

既存顧客・LTVを伸ばす施策(3個)

施策何をするか必要な人手の目安成果が見え始めるまで
活用支援・オンボーディング導入後の定着を支え解約を防ぐ月0.3〜0.5名分3〜6か月
アップセル・クロスセル提案既存顧客へ追加提案の機会をつくる月0.2〜0.3名分2〜4か月
紹介・リファラル依頼満足している顧客から紹介を得る初期2〜3人日+定例2〜6か月

新規獲得と比べて後回しにされやすい段階ですが、既存顧客からの売上が伸びると、広告やSEOに使える投資余力そのものが変わります。新規リード単価が高騰している商材ほど、この3施策の優先度は上がります。

3問で30個から自社の初手3つに絞る

BtoBマーケティング施策をリード数・体制・商材単価の3問で絞り込む判断図

一覧を見た後に必要なのは、足し算ではなく引き算です。ここではリード数・社内体制・商材単価の3問で候補を絞ります。施策会議で使えるよう、質問の順番も固定しました。なお各問の閾値(リード件数・人手・単価)は、支援の現場で使っている実務上の目安であり、業種や商材によって前後します。

アズくんワンポイント: 「一覧は見たけど、うちはどれから?」って迷いますよね。上から順に3問だけ答えてみてください。

問1:月のリード数は何件ですか。 ここで、獲得側と育成側のどちらを厚くするかが決まります。

月のリード数優先する段階一覧から選ぶ施策の例
10件未満認知・流入とリード獲得LP・フォーム改善、検索広告、ホワイトペーパー
10〜50件リード獲得と商談化支援ウェビナー、MQL/SQL定義、事例資料
50件以上リード育成と商談化支援ステップメール、インサイドセールス、ABM

問2:マーケティングに使える人手は何名分ですか。 ここで、候補から実行不可能な施策を落とします。一覧の「必要な人手」列と突き合わせてください。

使える人手現実的な施策数避けた方がよい施策
0.5名分以下同時に1〜2個MA導入、展示会、ABM、SNS運用
1〜2名分同時に2〜3個MA導入、ABM(専任がいない場合)
3名分以上同時に4個以上特になし(優先順位で判断)

問3:商材の平均単価はいくらですか。 ここで、時間をかけてよい施策かが決まります。==単価が低い商材で検討期間の長い施策を選ぶと、獲得コストが利益を超えます。==

商材単価向く施策の性質一覧から選ぶ施策の例
数十万円以下効率重視・自動化寄り検索広告、LP改善、ステップメール
数百万円規模検討支援を厚くするホワイトペーパー、ウェビナー、事例資料
一千万円以上個別接触を厚くするABM、展示会、インサイドセールス

3問の答えが重なる施策が、今期の初手候補です。3つを超えて選んだ場合は、必要な人手の合計が使える人手を超えていないかを必ず確認してください。超えている状態で走り出すと、どの施策も中途半端な実行になります。

自社の3問の答えから初手を絞り込みたい場合は、現状の流入・リード数・体制を前提にご相談ください。 マーケティング戦略サービスの概要で、施策選定から計測、営業連携までの支援範囲を確認できます。

この記事もおすすめ|BtoBマーケティング手法の選び方:流入・CV・商談化から初手を決める|どの段階が詰まっているか自体を見極めたい場合は、流入・CV・商談化からボトルネックを特定する手順を深掘りできます。|

兼任体制で回らない施策を先に外す

BtoBマーケティング施策を30日、60日、90日で継続、増額、停止に分けるロードマップ図

一覧の中には、予算があっても人手の形が合わないと回らない施策があります。兼任担当者が1〜2名の組織で止まりやすいのは、次のパターンです。

  • 継続的な発信が前提の施策(SNS運用、メルマガ、ニュースレター)は、更新が止まった時点で成果がゼロに戻る
  • 当日拘束がある施策(展示会、セミナー)は、準備と追客の工数が本業を圧迫する
  • 専任前提の施策(ABM、インサイドセールス)は、片手間だと接触の質が落ちて逆効果になる
  • 設定が重い施策(MA導入)は、運用者不在だとツール費だけが残る

これらを最初から候補外にすると、残った施策に工数を集中できます。やらないと決めた施策を施策会議の議事に残しておくと、翌四半期に同じ議論を繰り返さずに済みます。

判断に迷う場合は、90日で兆候が出るかを基準にしてください。一覧の「成果が見え始めるまで」が90日以内の施策は、少ない人手でも検証と撤退の判断がしやすい部類です。逆に6か月以上かかる施策は、続ける体力があるかを先に確認します。

判断ポイント

  • 更新が止まると成果が消える施策か
  • 当日拘束と追客工数が読めているか
  • 片手間だと質が落ちる施策ではないか
  • 90日で兆候を確認できるか

成果までの期間を取り違えると施策は止まる

施策が止まる理由の多くは、効果がなかったからではなく、成果が出る時期の想定が社内でずれていたからです。SEOに4〜6か月かかると共有していなければ、3か月目の会議で「効果がない」と判断されます。

一覧の「成果が見え始めるまで」は、この社内合意のために使ってください。施策を始める際に、いつ何の数字で判定するかを先に決めておくと、途中の中断を防げます。

判定タイミング見る数字この時点で見なくてよい数字
1か月目表示回数、クリック、フォーム到達率受注、受注単価
3か月目CV数、MQL化率、資料DL数受注単価、LTV
6か月目SQL化率、商談化率、失注理由—
12か月目受注率、受注単価、投資回収—

GA4のキーイベントを使うと、問い合わせや資料ダウンロードなど重要な行動を測定できます。ただしBtoBでは、キーイベントの数だけで施策を評価せず、その後のMQL、SQL、商談化率まで接続して見る必要があります。

媒体の管理画面の数字だけで施策の継続を判断しないようにしてください。広告のCPAが低くても商談にならなければ問題ですし、SEOの流入が少なくても受注単価の高い商談につながるなら伸ばす価値があります。

Google検索の有用なコンテンツに関するドキュメントでは、検索エンジン向けではなく人に役立つ内容を優先する考え方が説明されています。一覧の中でSEO記事を選ぶ場合も、キーワードを並べるより、読者が社内判断に使える情報を用意する方が結果的に近道です。

よくある質問

Q. 施策は同時にいくつまで進められますか

マーケ担当が1〜2名分の体制なら、同時に2〜3個が目安です。一覧の「必要な人手」を合計し、使える人手を超えていないかで判断してください。数を増やすより、90日で判定できる施策を確実に回す方が、次の投資判断につながります。

Q. 予算がほとんどない場合、一覧のどこから手を付けますか

既存の流入を取りこぼさない施策から始めます。LP・フォーム改善、休眠リードの掘り起こし、MQL/SQL定義は、いずれも数人日から10人日程度の工数で着手でき、広告費を増やさずに商談数を動かせる余地があります。

Q. 施策一覧をそのまま社内提案に使ってよいですか

一覧だけを提出すると「全部やるのか」という議論になりやすいため、3問の絞り込みまで通してから、選んだ3つと選ばなかった理由をセットで出す方が通りやすいです。やらない施策を明記しておくと、後から差し込まれる依頼も減ります。

まとめ

BtoBマーケティング施策は、認知・リード獲得・育成・商談化・既存顧客の5段階で30個に整理できます。ただし、一覧を手に入れることと、自社で成果を出すことの間には、実行できる人手という制約があります。

まずは自社で症状が出ている段階の表だけを見て、リード数・体制・商材単価の3問で候補を3つまで絞ってください。そのうえで、必要な人手の合計が使える人手に収まっているかを確認します。

施策の数ではなく、90日で判定できる施策を確実に回すことが、次の投資判断を早めます。一覧から自社の初手を決めきれない場合は、現状の数字を前提にご相談ください。

この記事もおすすめ|BtoBマーケティングとは?戦略・施策・KPIを初心者向けに5分で解説|施策の前に全体像から整理したい場合は、BtoBマーケティングの基本構造をこちらで確認できます。|

参考にした公式情報

執筆者情報
LOads 代表取締役 綱脇 耕輔

執筆者情報

LOads 代表取締役 綱脇 耕輔

Webマーケティング会社・大手Web系企業を経て独立し、デジタルマーケティング業界で14年のキャリア。2018年より東京・福岡を中心に、Web広告運用やSEO対策・AIO対策などのデジタルマーケティング支援を大手・中小企業問わず行っています。100社以上のマーケティング支援の現場で得た知見をもとに、独自の知見とナレッジでコラムを発信しています。